1、鍼と灸について
鍼の材質には主にステンレス、金、銀が用いられ、太さ0.16mmのものがよく使われ
灸は「やいと」「えつ」などとも呼ばれ、よもぎが原料のもぐさを使います。
鍼灸は中国で生まれたものですが、その起源をさかのぼると5000年ほど前の石器時代にさかのぼると言われています。
約2000年前に書かれた「黄帝内経」には、砭石(へんせき)と呼ばれる石の鍼で、化膿していた所を切開していたことが書かれています。
また同時代の別の本には、「むしろ」や「ござ」を使ってイボにお灸していることが書かれており、当時はよもぎ以外の植物を使ったお灸がされていたようです。
現在の東洋医学は、その2000年前の本「黄帝内経」を基礎にしてその理論が成り立っています。
2、鍼灸の効く理由、現代医学的にみた場合
鍼灸が何故効くのか、については今もなお研究が行われており、その仕組みが徐々にわかってきています。
今回専門用語を使わず、なるべくわかりやすく書いてみました。
鍼灸が効くのは主に三つの仕組みがあると言われています。
1、局所性鎮痛機構→治療した所に効く
鍼灸には筋肉が緩む、血流がよくなるなどの作用があります。その作用が治療を行った部分の症状を解消するのに役立っているようです。
2、反射性鎮痛機構→治療した所とつながりのある内臓に効く
内臓からの神経は背骨にある脊髄とつながっています。鍼灸による刺激も脊髄に伝わり、さらに内臓へと伝わっていきます。
この作用で胃痛、便秘などの内科系の疾患に対しても鍼灸が効果を示すようです。
3、内因性鎮痛機構→治療すると脳から麻薬が出て効く
鍼灸の刺激は脊髄に伝わりさらに脳へと伝わっていきます。刺激が脳へ入ると、脳はエンドルフィンといったいわゆる脳内麻薬を分泌します。
これはモルヒネと同じような効果があり、全身に作用して痛みを取ります。
3、鍼灸の効く理由 東洋医学的にみた場合
1、五臓がバランスを崩すと病気に
人間の体は五臓六腑という、5つの臓と6つの腑が生命活動を支えています。
そのなかでも五臓が大切で、五臓のいずれかが弱ると、そこから病気が起こると考えられています。
この五臓が弱る原因ですが、体質、生活習慣や外部環境の影響がありますが、総じて言えばバランスが崩れることが原因です。
鍼灸はこの崩れたバランスを調整することで、病気を直していきます。
2、鍼と灸の使い分けについて
鍼と灸の使い分けは、人それぞれのため、統一された使い分けはありません。
鍼は肩こりのように詰まっているものを解消したり、エネルギーのバランスを取るのに有効で、お灸は熱による刺激なので、冷えがきつい時や、エネルギーを増やすのに有効ではありmすが、術者の技術や、患者さんによって変えるためこの使い分けも絶対ではありません。
3、オーダーメイド治療こそ鍼灸の強み
西洋医学と違い、同じ病気でも、人によって弱っている所や体質が異なるため、他の人と全く同じ治療をすることはありません。
鍼灸治療はその人に合わせた治療ができることが鍼灸治療の効果をあげている大きな要因の一つでしょう。
4、まとめ
色々と説明していきましたが、いかがでしたでしょうか?
鍼灸がなぜ効くのかという説明はなかなか言葉にしにくい所があり、わかりづらいところもあるかもしれません。
よりわかりやすく文章化できるように今後も勉強をしていきたいと思います。
気になる点や、疑問等がございましたらお気軽におたずねください。
参考文献
木下晴都, 鍼灸学原論, 医道の日本社, 昭和63年6月1日
天津中医薬大学・学校法人後藤学園編集, 鍼灸学【基礎編】, 東洋学術出版社, 2010年2月25日
高島文一, 鍼灸医学序説, 思文閣出版, 昭和63年4月5日
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